2020年4月18日土曜日

百道浜から

 新型コロナウィルスの感染が拡大し、非常事態宣言の対象が全ての都道府県に広げられました。私たち全員に、感染の拡大を防ぐためのあらゆる努力が求められています。福岡市博物館も臨時休館となり、在宅勤務の導入、出勤シフトの調整を行って職員どうしの接触を可能な限り減らしています。そのいっぽうで、「おうちDE福岡市博物館」と銘打ち、在宅でも楽しめるコンテンツの拡充をはかりつつあります。

 同時に、福岡市博物館がある百道浜地区・地行浜地区は、消防署や医療関係施設が数多く立地しています。私たち博物館スタッフは、自らも感染の危険にさらされる中で救急・医療関係の業務に携わる方々へ感謝するとともに、心からの敬意を捧げます。そのためのささやかな意志表示として、4月10日から、毎週金曜日の正午、#Friday Ovationに参加しています。


 百道浜にある博物館として、もう一つ心掛けたいことがあります。ご承知のように百道浜は1989年にアジア太平洋博覧会 福岡’89よかトピアが開催された場所であり、博物館の建物は博覧会のテーマパビリオンとしてお目見えしました。よかトピアは、福岡市にとってさまざまな意味で節目となったイベントですが、その一つに情報産業の発達があります。第三次産業の活発で層の厚い展開こそが、今日の福岡市の発展の原動力であるとすれば、情報産業がその中核を担うものであることは言うまでもありません。

 二つの民放局やIT関連企業、福岡の電波を集約する福岡タワーなどがある百道浜は、今日の情報産業の一大拠点です。それだけでなく、今日あたりまえのように存在する企画・広報・イベント関連のさまざまな業態は、それまで福岡市にほとんど無かったものが、よかトピアをきっかけに一挙に花開いたものです。歴史と現状を踏まえれば、百道浜は福岡市発展の原動力となった情報産業にとって、象徴的な場であると言えるでしょう。

 情報産業はすそ野が広く、企画やデザイン、印刷などの最前線は、数多くの小規模事業者やフリーランスの皆さまによって支えられています。そして、私たち博物館が日ごろ密接にお付き合いし、お世話になっているのは、そのような小規模事業者、フリーランスの方々、いまとても大変な立場で苦闘しておられる皆さまです。
 福岡市博物館は百道浜という、福岡市の情報関連産業のスタートアップの場に立地する博物館
として、皆さまと共にあり続ける意志を表明いたします。

 そうは言っても具体的に支える力が無いことを、本当に口惜しく思います。しかしほんの僅かでも出来ることがあれば、微力を傾けたいと思っています。何かできることはないか、ご一緒に知恵を絞っていきましょう。皆さまがコロナとの戦いを何とか乗り切っていただくよう、福岡市博物館は心から念じています。

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